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弁護士法人心 藤沢法律事務所

遺留分を請求されたらどうすればよいか

  • 文責:所長 弁護士 菅沼大
  • 最終更新日:2025年1月7日

1 遺留分を請求された場合の対応について

結論から申し上げますと、遺留分は一定の相続人に対して最低限保障される相続財産の取り分であるため、遺留分を請求された場合には原則として支払う必要があります

ただし、支払うべき遺留分侵害額は、相続財産の内容によっては評価が必要となります。

そのため、遺留分権利者との間での話し合いや、調停、訴訟などによって決める必要があります。

また、遺留分侵害額請求権は、一定の期間が経過すると時効によって消滅しますので、仮に消滅時効が完成していた場合には支払いに応じる必要はありません。

以下、それぞれについて詳しく説明します。

2 当事者間での話し合い

遺留分侵害額相当額の支払い請求を受けた場合、まず当事者同士で支払う金額や支払い時期、方法等についての話し合いをするのが基本となります。

話し合いの結果、両者で合意に至った場合には、合意内容に従った金額の支払いをして終了します。

実務においては、遺留分を侵害する内容の遺言が存在した場合、相続人全員で、遺言の内容とは異なる遺産分割協議をすることで、遺留分に関する問題が解決することもあります。

3 遺留分侵害額請求調停の申立て

当事者間での話し合い等では支払額の折り合いがつかない場合、遺留分権利者が家庭裁判所に遺留分侵害額請求調停を申し立てることがあります。

調停が申立てられた場合には、期日に家庭裁判所に出廷し、家庭裁判所で話し合いをすることになります。

調停での話し合いを行った結果、当事者間で合意に達することができれば、合意内容に従った支払いを行うことで終了します。

4 遺留分侵害額請求訴訟の提起

遺留分侵害額請求調停で話し合っても解決できない場合には、遺留分権利者が遺留分侵害額請求訴訟を提起することもあります。

訴訟は調停と異なり話し合いではないので、民事訴訟のルールに従って主張立証活動等を進めていく必要があります。

ただし、訴訟が提起されたとしても、当事者間で遺留分の支払いについての話し合いをすることはできますので、もし訴訟外でお互いが支払額等について合意することができれば、訴訟を取下げるということもあります。

5 遺留分侵害額請求権の消滅時効

遺留分侵害額請求権は、相続の開始、および遺留分の侵害があることを知ったときから1年で、時効により消滅します。

また、相続開始の時から10年を経過したときも消滅します。

遺留分の請求を受けた場合には、まず遺留分侵害額請求権が時効によって消滅していないかどうかも確認し、もし消滅時効が完成しているようであれば消滅時効の援用をしましょう。

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